モータースポーツの最高峰とも言えるF1。
国内でも僕が幼い頃にはテレビ中継もあったのですが、今は無くなってしまいました。
今回はそんなF1のマシンとドライバーの凄さをお伝えできればいいなと思います。
F1とは。
「F」とはフォーミュラ=規定(レギュレーション)を意味します。
マシンのことをフォーミュラカーと言うのですが、定義は1人乗りでドライバーとタイヤが剥き出しになっているレーシングカーを指します。
なぜ「1」が付くのかは、「F2」「F3」と下のカテゴリーも存在するためです。
ドライバーの凄さ。
「レースなんて同じところをぐるぐる回ってるだけじゃん」と思う人もいるかもしれません。
確かに見た目はそうですし、そう思う人がいてもおかしくないですね。
では、実際にドライバーがどんな状況に置かれているのかを見てみましょう。
①温度
マシンのコックピットは剥き出しのため、エアコンはありません。また、エンジンはドライバーのすぐ後方にあります。そして人1人が入るのも窮屈なシートにハンドルを外して、ほぼ寝そべるように着座します。
これくらい。脚が心臓とほぼ同じ高さになります。
ドライバーの着るレーシングスーツは難燃素材で3層構造なっていて、ほぼサウナスーツです。
加えて地面との距離も近いので、アスファルトの熱がもろに来るそうです。
気温や国によってももちろん変わりますが、車内の温度は60℃を超えることもあるのです😳
その状態で約1〜1時間半の間猛スピードで走ることを想像してみてください。
レース後のドライバーは体重が約3キロ減ると言われ、脱水症状を起こすこともあります。
②スピード
F1マシンのスピードを見てみましょう。停止状態から100km/hに達するまでの時間は4秒弱。
この数値は驚くべきほどではない(早いけどね)。と言うのも市販のスーパーカー、今はハイパーカーなんて言われたりする車には、3秒を切るようなイかれた加速をする車もあるからです。
しかし、F1マシンが100〜200km/hに掛かる時間はわずか1.5秒しか掛かりません。これは異常です。
最高速はどうでしょうか?
これに関してはコースやギヤ比などのセッティングにもよるので一概には言えませんが、300km/hは軽く超えてくるでしょう。
平均速度もまた、コースによって変わりますが200km/hオーバーと言われます。
③G
G=重力加速度ですが、よく聞く言葉だと思います。普段の生活でも体感することはできますね。
ジェットコースター好きですか?僕は嫌いですが、ジェットコースターで掛かるGは2〜3Gと言われます。高性能スポーツカーのフル加速で約1G。
F15戦闘機で最大9Gに達するそうです。この辺りが人間の限界だそうで、戦闘機のパイロットはGスーツと呼ばれる耐Gスーツを着用しています。
ではF1ドライバーに掛かるGはどれくらいなのでしょうか?
フルブレーキング時に6Gは掛かります。しかも左足で150kgくらいの踏力でペダルを踏みながらそのGを受けるのです・・・。
さらにコーナリング中にも4〜5Gの力で体を左右に押されます。僕で言えば400kgくらいの力で横から押されてることになる😕
体は固定されているのでまだ良いですが、首は固定されてないですからね。ドライバーの首はみんな驚くほど太いです。
これを何周も繰り返すのです。
素人だと下手したら一回のフルブレーキングで失神すると思います。
心拍数も200近くまで上がります。
これがF1ドライバーが「パイロット」と呼ばれる所以です。
マシンの凄さ。
F1マシンの凄さを全て語ると朝になっちまうので、かなりざっくりと4つに絞って書いてみます。
①軽さ
乗用車においてもそうですが、車重というのはめちゃめちゃ重要なファクターです。
「進む・止まる・曲がる」すべてにおいて大きな影響を与え、燃費にも影響します。
軽量に勝るチューニングはないとよく言います。
一般的な車の重量を見てみましょう。
まずは僕が乗っていたランエボは、1360kg。
ロードスターが1t弱(960kgだったかな)。2台とも現代の車と比べると、特にロードスターは軽量の部類です。
ミニバンとかになると2t近くか、超える車両もあるでしょう。
対してF1のマシンは、2024年のレギュレーションでは798kg。
これは、軽トラやSuzukiの「ハスラー」よりも少し軽いくらい!でも調べた時僕は正直「重くなったな」と思いました。
理由は割愛しますが、F1マシンは年々重く・長く(大きく?)なってます。僕が知ってた頃は700kg切ってたんだけどな・・・。
②タイヤ
これはレーシングタイヤ全てに言えることなのですが、一般のラジアルタイヤとは物が全く違います。
ツルピカです。タイヤのグリップ力は地面との接地面積が大きいほど強くなります。
市販のタイヤに溝が彫ってあるのは、雨天時の排水の為です。
レースでは比較的綺麗に舗装されたサーキットを晴れ前提で走るので、溝は必要ないのです。
もちろん雨天時にも走りますが、その時はインターミディエイトやレインタイヤと呼ばれる溝のあるタイヤに履き替えます。
勘違いしていただきたくないのですが、「じゃあ晴れた日ならツルピカになった一般的なタイヤでも走れるじゃん」とは絶対に思わないでください。マジで。
そこまで行くとグリップしないし、最悪バーストして事故ります。
このレーシングタイヤは、厳密にいうとタイヤを溶かしながら路面に張り付くようにして走っています。なのでグリップ力が一般のタイヤとは桁違いなのです。
こんな感じで路面のゴミや小石などがへばり付きます。コロコロするやつみたい。
③ブレーキ
F1マシンのブレーキ(パッドとローター)はカーボン製です。
なぜカーボン製なのかというと、摩擦力が強く耐熱性・高温時の強度に優れているからです。
マシンは、あるコースでは3秒以内に350km/hから80km/hまで減速をします。
またどのコースでも頻繁にブレーキングは行われるので、耐熱性が高くないとまともに走れないのです。
見たことある人もいるとは思いますが、F1に限らずブレーキのローター(ディスク)がこんなに赤くなることがよくあります。
しかし、カーボンブレーキはある程度まで高い温度まで上がらないと効かない。というデメリットもあるので、タイヤ同様攻める前に走りながら温める必要があるのです。
ブレーキとは関係ないけど、F1マシンのアクセルオフでの減速度はホンダ「NSX」のフルブレーキングと同等だとか・・・。
④空力
F1を語る上で欠かせない。というかこれを語るためにここまで書いてきたんだ😏
F1マシンの速さの秘密はこの「空力」に詰まっていると僕は思います。
突然ですが、飛行機がなぜ飛べるのかご存知ですが?急に飛行機の話をし始めてトチ狂ったかと思うかもしれませんが安心してください。
とりあえず飛行機の翼の断面を見てみましょう。
こんな形状をしています。この形状により翼の上面を流れる空気は下面に流れる空気より速く流れます。
速く流れると気圧(圧力でいいのかな?)が下面に比べ低くなります。すると圧力は高い方から低い方へ加わるので上向きの力(揚力)が働き、重力と釣り合い飛行できるのです。
F1マシンの後方には大きな羽根みたいなのがくっついていますね?
それはこの飛行機の羽根を上下逆転させたような物なのです。上下逆、つまりは下方向の力が掛かるようになるということです。
この下方向の力を「ダウンフォース」と言い、これで車体を地面に押さえつけることで驚異的なコーナリングスピードが実現できるのです。
しかし車体の前後にあるウイングで発生するダウンフォースは全体の3分の1程度だと言われています。
では残りの3分の2のダウンフォースはどこで稼いでいるのでしょうか?
正解は・・・「底面」です。車体の裏側。
車を走らせると底面にも当然空気は入ってきます。入った空気は底面の複雑に入り組んだ部品などにぶつかり、遅くなったりして車体を持ち上げようとする力が生まれます。
こうなっては車体は安定しませんね。車体の下に入った空気を速く後方に逃がしてあげなければなりません。
どうするのか?1つは底面をフラットにすること。こうすると空気が余計な回り道をせずに抜けやすくなります。
そしてもう1つは・・・「車高を低くする」ことです。
皆さんも経験があるかと思いますがホースで花に水やりをする時に、より遠くに水を飛ばそうとホースの口をギュッと摘みませんでした?
これと同じ原理なのです!ホースの口(地面と車の間)を狭くすることで、水が勢いよく飛ぶ(空気が速く抜ける)のです。
こうすることで先ほど言ったように圧力が低くなるので、ダウンフォースが得られるのです。
レーシングカーの車高がやたら低いのにはこういった意味があるのです。
もちろん他にもダウンフォースを得ている要因やパーツもありますが、ざっくりと説明させていただきました。
ちなみに余談ですが、その強いダウンフォースは車重を上回るので理論上は天井を走れるのだ。
終われよ。
いかがだったでしょうか?
F1ドライバーとマシンの凄さ、伝わったかな・・・。
全てのモータースポーツは過酷で、常に命の危険を伴います。
その中でも過酷だと思うF1に参加する、たった20人の中に選ばれたドライバー達は、尊敬に値するスーパーアスリートだと僕は感じています。
現在活躍している日本人ドライバーの角田裕毅くんの活躍と安全を祈って終わります。
さよなら。
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